あなたがビジネスマンなら取引先や上司、同僚に清潔感や信頼感を与えるために、身だしなみに気をつけていたいと思っているはずです。
「人は見た目が9割」(竹内一郎著・新潮新書)なんていう本がベストセラーになったりしたこともあり、見た目に気を遣うビジネスマンは近年増加しています。
特にスーツは仕事をする上であなたの印象の良し悪しを決める重要なアイテム。
ただ、スーツの選び方や着こなし方って案外難しいですよね。
メンズスーツは長い歴史の中で先人たちの試行錯誤の末、正しい着こなしが確立されたファッションです。
もちろん、その時々のトレンドはありますが着こなしには一定のルールが存在します。
そこで、この記事ではスーツの平均価格である3万円の予算内でかなう正しいスーツ選び方を解説しています。
メンズファッション歴28年のベテラン販売員が紹介していくので、ぜひ参考にしてみてください!
正しいスーツ選びのポイント
正しいスーツ選びのポイントは3つです。
- あなたに合ったサイズを選ぶ
- 上質の仕立てを選ぶ
- 目的に合わせて色を選ぶ
この3つのポイントを押さえてスーツを選べば、ビジネスであなたの印象は大きく向上します。
① あなたに合ったサイズを選ぶ
スーツを選ぶ際、最も重要なポイントはサイズです。サイズが合っていないとシワや汚れがなくてもだらしなく見えてしまいます。
そもそも、メンズスーツは既製品であっても幅広いサイズを展開しているものが多く、自分に合ったサイズを見つけやすいアイテムです。
しかし、自分に合ったサイズが何なのかほとんどの人が理解していません。
そこでお店の販売員にいろいろ相談しながら選んでいくのですが、店側はなるべく在庫を押さえて利益を多くとりたいという理由や手間をはぶいてコストを下げたいとの思いから、現在店舗にある在庫で販売しお直しはなるべく少なく済むようにしようと考えています。
なので、結果的にサイズが合っていない商品をお客様に販売してしまうことも…
そんな店側の都合による失敗を防ぐために、サイズフィッティングの知識を学んでからお店に行く必要があります。
こちらから販売員に「自分はこんな感じでスーツを着たい」と具体的に相談できれば、より適正なサイズの紹介やお直しの提案をしてくれるようになるでしょう。
サイズフィッティングはスーツを着るビジネスマンにとって必須の知識なのです。
② 見栄えを左右する仕立て
良い印象を与えるスーツを選ぶために次に重要なポイントはスーツの仕立てにあります。
その中でも確認すべきポイントは「前肩縫製になっているか」と「毛芯仕立てで作られているか」の2点。
スーツは平面の布を立体にするために特別な裁断をほどこし職人がミシンや手を使って縫製します。
丸みを出すために途中何回もプレスを加えながら作るほぼハンドメイドな製品です。
立体的な丸みを出すほど手間がかかるので価格は上昇。
このことから、人の肩に合わせて立体的に縫い上げる前方縫製や前身をより美しく見せるために毛芯と呼ばれる馬の尻尾の毛で作った芯を施す毛芯仕立てのスーツはとても高価なものが多いです。
しかし、高級スーツに多く取り入れられている前方縫製や毛芯仕立てであっても、予算3万円ぐらいで買うことのできる商品は多く存在しています。
ですから、スーツは前方縫製、毛芯仕立てで作られたコスパの高いものを選ぶようにしてください。
③目的に合わせた色の選択
メンズスーツの色は主に紺、黒、グレー、茶の4色です。
ビジネスにおいてあなたの着ているスーツの色が相手に与える印象にどのように影響するかを理解して選ぶ必要があります。
というのも、色によって相手に与える印象は変わるからです。
色にはそれぞれ異なるパワーがあるので色のもつパワーを一つずつ理解してビジネスに役立てていきましょう。
サイズフィッティングでチェックすべき8つ
メンズスーツのサイズは身長とウエストでだいたい決まります。
そのサイズが自分に合っているかどうかはジャケット5ヶ所、スラックス3ヶ所の計8ヶ所を確認すると判断できます。
① 肩幅
スーツにとって肩の大きさが合っているかは特に見栄えに影響します。
肩幅の目安は上着を着て両肩を親指と人差し指で摘んだ時に人差し指の第一関節が少し入るくらいがベストです。
これは、自分では確認できないので販売員にしっかり確認してもらいましょう。
② 胸まわり
胸まわりはスーツの襟が体から浮いた感じになっていないのが良い状態です。
胸筋の大きさが合ってない場合は襟が浮いてしまいスーツの上着の綺麗なラインが出ません。
もしあっていなければサイズを変えたり、ブランドを変えたりして大きさを変更する必要があります。
③ 着丈
ジャケットの着丈は、お尻の一番下の部分が少し見えるぐらいからお尻が半分出るぐらいの間が良いとされています。
ジャケットの着丈は足を長く見せるための重要な要素の一つ。
着丈が長かったり短かったりするとバランスが悪くなり足が短く見えてしまいます。
④ 袖丈
手首のくるぶしが隠れるぐらいがちょうど良い長さです。
上着の袖からシャツの袖が1.5センチぐらい見えるのが目安です。
もし、それより袖が長い場合は、お直しで短くできるので販売員に相談しましょう。
逆に袖が短い場合は1センチまでは長く出せる場合があります。
ただし、物によって袖を伸ばすことができないこともあるので販売員に確認しましょう。
⑤ 前身頃
前身頃は上着のボタンをしめたとき、横に不自然なしわがよっていないのがよい状態です。窮屈になっていないか確認してください。
以前は、握りこぶしひとつ入るぐらいの余裕があると良いとされていましたが、現在はスリムなスーツが多く握りこぶしが入らなくても良いとされています。
⑥ ウエスト
スラックスのウエストの大きさは、スラックスとお腹の間に手のひらが一枚入るぐらいがベストです。
既製品のスーツのスラックスはお直しでウエストを大きくしたり小さくしたりできるので、合わないときは対応してもらいましょう。
お直しは±3センチぐらい可能な場合が多いです。
⑦ 太もも
スラックスの太ももは、手のひらで一掴みできるぐらいの余裕があるのが理想です。
昨今のスーツはスリムなスタイルが人気ですが、太もものラインが浮き出てしまうようなピッタリとしたスラックスはビジネス向きではありません。
動きやすさも考えて少しゆとりのあるものを選びましょう。
⑧ 裾丈
既製品のスーツの裾は購入してから直すのが一般的なので、試着時に長さを販売員に測ってもらわなければなりません。
販売員が長さを測るときにどれくらいの長さにするか確認してきます。
裾幅が狭いスリムなスラックスは裾が長いと足下でもたついてしまうため少し短めのハーフクッションに、裾幅の広いスラックスは裾丈がやや長めでも綺麗にクッションするのでワンクッションの長さで合わせてもらいましょう。
以上の8つの点を確認しながら選ぶと、着こなしのルールに沿ったきちっと見えるスーツが選べます。
印象をアップに欠かせない上質な仕立て
スーツ姿をより良く見せるためには仕立ての良いものを選ぶことが重要です。
しかし、仕立ての良いものを選ぶとスーツは高額になってしまいます。
そこで、コスパ良く見栄えの良いスーツに仕上げるなら、前肩縫製と毛芯仕立てであるかの2点に絞ってスーツを選びましょう。
前方縫製
日本人は欧米人に比べ前方に肩が出ています。
そのため、スーツを仕立てるときにより立体的に肩先を前の方にカーブさせて作らなければ着心地も見栄えも良くなりません。
さらに背中から見た時に前肩縫製のスーツは、首の下にツキジワが出にくくなります。
前方縫製のスーツは着用時に上着の重心が肩ではなく首の後ろの付けになるので着心地が軽く感じられ長時間着ても疲れにくいです。
毛芯仕立て
毛芯とはジャケットの前身の部分の生地と裏地の間に入っている部品で多くは馬の尾の毛で作られています。
毛芯仕立てのスーツは、着た時に上半身のフォルムがとても上品。
上半身の前部を毛芯で包み込むことで胸からウエストにかけてキレイな体のラインを作るのです。
毛芯仕立てでないスーツは、接着芯というもので作られています。
接着芯とは化学繊維で造られた芯に糊を塗り高温のアイロンで表生地に貼り付ける方法で造られます。
接着芯は毛芯に比べて柔らかく軽いというメリットもありますが、上半身の上品でキレイなフォルムを作ることはできません。
接着芯と毛芯ではスーツを着た時の体のラインの美しさが大きく異なります。
スーツの色で変わるあなたの印象
色が持つパワーを理解すると自分の作りたいイメージを着るスーツによって演出できるようになります。
主なスーツの色である紺、黒、グレー、茶が相手にどのような印象を与えるのか解説していきます。
紺
紺は後退色と言われ、紺色のものは同じ位置にある他の色のものより後方に見えてしまいます。
よって紺は相手を尊重する謙虚で誠実な印象の色。
ビジネスにおいて紺のスーツを着ることは相手への敬意を無言で表現します。
なので、紺のスーツは相手に誠実さを伝えたいときに選んでください。
黒
黒は重さを感じる色です。同じ重さのものでも黒いものと白いものがあると、人は黒いものを重いと感じます。
黒の持つ重厚なイメージは強さやクールさを印象付けるのです。
そこで黒は、自信があることをアピールしたり現実的で行動力ある印象を与えたりするのにとても効果的。
相手に自分の有能さを売り込みたいときに黒のスーツはおすすめです。
グレー
グレーは重厚なイメージの黒と軽さをイメージした白を混ぜた色です
グレーはその中間的な色合いから曖昧さを感じさせます。
その曖昧さがもたらす印象は、自己主張を抑えた控えめなイメージ。
グレーのスーツを着ることで、落ち着きや冷静さ、謙虚さを印象付けるのに有効です。
茶
茶色は土の色。茶色は大地を想起させるため安心感や落ち着きを感じさせる効果があります。
ビジネスで取り入れたなら相手に揺るぎない信念と優しさを印象付けるのに役立つのです。
茶色のスーツは、物事に動じない頼もしい人のイメージを与えるでしょう。
おすすめショップ3選
あなたがビジネスで好印象なスーツを選ぶために、種類が豊富で自分に合ったサイズが選びやすく、3万円以内で前肩縫製、毛芯仕立の取り扱いのあるおすすめのショップを3つ紹介します。
① THE SUIT COMPANY
【価格】20,900円〜
THE SUIT COMPANYは多くの日本人の体型データから独自に開発した型紙をもとに、着心地を追求したスーツを開発。
体にフィットする細めのシルエットでありながら、ストレッチ性があって動きやすくシワにも強いなどの機能を持ち合わせています。
ハードなビジネスシーンでスーツを着る方におすすめです。
② ORIHICA
【価格】19,800円〜
ORIHICAの特徴は、サイズの種類が豊富で低価格なものでも着心地の良い前肩縫製の商品が多く、3万円前後のスーツなら毛芯仕立てのものも多く揃えています。
シルエットが綺麗でウエストのラインが美しくシェイプされたスーツは、20代、30代の若いビジネスマンに人気。
スーツのシルエットにこだわりたい方におすすめです。
③ オンリー(ザ・スーパースーツストア)
【価格】30,800円〜
オンリーのスーツは体に吸い付くようなフィット感が人気です。
有名ブランドの生地を使用したり、ディテールにこだわったりとスタイリッシュでおしゃれな商品が豊富。
スーツを個性的に着こなしたい方に特におすすめです。
見栄えを良くするシャツとネクタイの選び方
最後にスーツの見栄えをより良く見せるためのシャツとネクタイ選びのテクニックを紹介します。
シャツ選びのテクニック
シャツはスーツの襟がシャツの襟に少しかかるデザインのものを選んでください。
スーツの襟がシャツの襟に少し乗るように着ると首元がすっきり見えて小顔効果が現れます。
この着こなしにはシャツの襟の形と大きさ、スーツの襟の角度の3つのバランスをとることが必要。
襟越しが高いシャツやワイドカラーを選ぶとスーツの襟がシャツの襟に乗る着こなしがしやすいです。
ネクタイ選びのテクニック
ネクタイは幅に注目して選びます。
スーツ姿で相手の視線が一番が集まる部分はVゾーンと呼ばれる上着の襟と襟の間のVの形の部分です。
ネクタイの幅をスーツの襟の幅と同じものを絞めるとVゾーンのバランスが整うため、見た目が控えめで上品に…
スーツがトラッド系ならネクタイの幅は太め、スーツがモード系ならネクタイは細めのものを選ぶとバランスが良いです。
まとめ
メンズスーツは長い伝統の中で先人たちが工夫に工夫を重ね導き出した最高の着こなしがあります。
その着こなしの方法をマスターしてスーツを選べばそれだけであなたの印象はアップするでしょう。
サイズフィッティング、仕立ての良さ、色の印象、シャツとネクタイのバランスを意識してスーツを選ぶ。
そして、必ずしも高いスーツである必要はありません。
着こなしの基本を守ればあなたも相手に好印象を与え清潔感と信頼感のあるビジネスマンになれるのです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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